癌幹細胞とmicroRNA

摘要

近年,ゲノムの非コード(non-coding)領域から転写されるnon-coding RNAによるあらたな発現制御機構が明らかにされ,従来のDNAからRNA,そして蛋白質-という一方向の直線的な遺伝情報の流れに加えて蛋白質へは翻訳されない機能性RNAによって制御される高次のゲノム情報発現ネットワークが存在すると考えられるようになった1).また, microRNA(miRNA)は約22塩基の機能性小分子RNAで, 1,000種類以上が存在すると推定されているものの2),進化の過程でよく保存されていることから, miRNAによって制御されるゲノム情報発現ネットワークの重要性が示唆されてきた.