インクレチン薬

摘要

インクレチン薬は新規の2型糖尿病治療薬であり，GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬に大別される.GLP-1受容体作動薬は注射薬であり，欧米では体重減少効果が報告されている.GLP-1受容体作動薬は嘔吐の副作用に注意し，少量から使用を開始し漸增する.DPP-4阻害薬は経ロ薬であり服薬が容易という利点があるが，体重減少は認められず，血糖降下作用はGLP-1受容体作動薬に比ベ小さいという報告がある.インクレチン薬の効果はグルコース依存性であり，血糖が低い状態では作用しない.このため，インクレチン薬車独使用やチアゾリジン，ビグアナイド薬との併用では低血糖の頻度は増加しない.しかし，SU薬との併用には注意が必要である.インクレチン薬は細胞保護効果など，従来の2型糖尿病治療薬にはない特徴を有しており，インスリン分泌不全を主体とした曰本人2型糖尿病に対して適した薬剤と考えられるが，新規あるいは臨床治験中の薬剤であり，副作用や曰本人における使用成績など最新の知見に留意しておく必要がある.