幽門側胃切除術後Roux-en-Y法再建

摘要

Billroth I法（以下B I法）とRoux-en-Y法（以下 RY法）を比較した大規模臨床試験では"，RY法はB I法と比べて手術時間と入院期間が長くなるが，出血 量や縫合不全の頻度には有意差を認めなかったと報告 されている. RY法では，十二指腸断端縫合不全が起こりうる. 十二指腸断端縫合不全の発生原因として，十二指腸断 端の虚血ゃ内圧の上昇が挙げられる.十二指腸内圧が 上昇しないようにするため，Y吻合を行う際は吻合が 捻れないよう配慮する. Kimらは十二指腸断端鏠 合不全の発生率は低い（1.2%)と報告している力5，ひ とたび兗生すると長期間の治療を要することが多く ， 時に致命的となりうるため注意が必要である. Inoue らは，十二指腸断端の埋没により十二指腸断端の縫合不全発生率が低下した（0% vs. 2.2%)ことを報 告している.近年，開腹手術のみでなく腹腔鏡下手術 においても，十二指腸断端の埋没を行う施設が多く なっている.十二指腸断端の埋没は，まず切-離断端の 中央を鏠合した後に雨端を縫合する，タバコ縫合によ り一括して埋没する，など施設ごとに様々な方法で 行っているのが実情である.腹腔鏡下手術では，軸を 合わせるために患者左側に立って行うと容易に行うこ とが可能である，とする報告もみられる