手縫い法

摘要

切離ラインの膵頭側尾側を十分に剝離し，安全に膵切離できる術野を確保する必要がある.膵断端からの出血は5-0 PDSを用いて刺通止血を行っていくことが，術後膵液漏発生の予防となる.主膵管は膊実質を含め確実に連続刺通縫合を行っていくことが重要である.尾側膵切除術後膵液漏の発生頻度は，High volume centerにおいても30-50%と報告されている尾側 膵切除後膵液漏の発生は，在院日数を延長するだけで はなぐ時に腹腔内膿瘍から出血をきたし重篤な状態に なることもある.尾側膵切除後膵液漏発生を抑えるため に，様々な手段を駆使し臨床試験が行われてきたが， いまだ有効な膵切離法は確立されていない.高知医療 センタ一では開院以来，手縫い法で膵断端処理を施行 している6本稿では，実際の手術手技を提示しながら，そのポイントおよびコッを中心に解説する.