女性下腹部痛?腫瘤の鑑別診断若手外科医師の臨床研修における産婦人科診療のボイント

摘要

女性の下腹部痛?腫瘤感に対する診断?治療は，外科?産婦人科?泌尿器科など複数の診療科に関係すること から，鑑別診断に苦慮することが多い.救急診療（ER)においては，①出血性か，②炎症性か，③妊娠との関係は，④腫瘍性か，などを最初に判断し， さらに小児?思春期の女子生徒の場合は，先天性Muller管形成障害? OHVIRA症候群も念頭に置くことが大 切である.上記③?⑤の鑑別をすることなぐ安易に腹部X線撮影やCT検査を先行することは避けたい.女性の下腹部痛や腫瘤においては，外科?内科系お よび産婦人科疾患との鑑別が重要である.特に救急(ER)における初期対応では，身体および理学的所見 などによってある程度の診断予測を求められることが 多く，こうした臨床トレーニングは良質な若手医師の 育成や研修のためにも有意義であると思われる.本稿 では，主に外科を専攻する若手医師を対象とした女性 下腹部痛の鑑別診断を産婦人科の立場から概説し，若干の自経例を紹介したい. 緊急性のある場合は，同時に産婦人科診療コンサル卜を考慮していただけると有難い.