閉鎖を前提とした腹腔鏡補助下人工肛門造設術

摘要

人工肛門閉鎖術は単純な手術と考えられているが，癒着などにより剥離層が不明瞭になっている場合もあり，難渋することも少なくない．そこで，人工肛門閉鎖術を前提に，腹腔鏡補助下人工肛門造設術を施行し，安全に人工肛門閉鎖術を施行し得た症例を経験したので手技の工夫として報告する．患者：69歳，男性 2003年7月初め，肛円周囲基底細胞癌の診断にて肛門周囲腫瘍切除および皮弁形成術を施行し，術後その皮弁形成部の安静を図るため，同時に腹腔鏡補助下人工肛門（双孔式）造設術を施行した．全身麻酔下に仰臥位とし，人工肛門脱落防止のネラトンチューブの刺出部位を想定し，臍上部に小開腹法にてカメラ用の12mmのトラカール（A）を留置した．