従来,循環器疾患の治療の大原則は安静であり,とくに虚血性心疾患や心不全患者への運動療法は禁忌とみなされていた.しがし,多くの臨床試験から,運動療法を行うことにより運動耐容能だけでなく , QOL や生命予後が改善することが報告され始めた.心筋梗塞後の運動療法を中心とする包括的な心臓リハビリテーシヨン(心リハ)に関する生命予後の改善をみたメタアナリシスでは,心リハにより,心筋梗塞の再発が減少し,心臓血管死および全死亡が20-25%減少するとされている.実際,本邦でも,1988年に心筋梗塞症例に心リ八の保険診療が認められ,その後1996年には狭心症と開心術後にも適用が拡大され,さらに2006年の診療報酬改訂では,これらの疾患に加えて大血管疾患,慢性心不全,末梢動脈閉塞性疾患にも適用が拡大された.このように,心リハが単なる在院日数の短縮を目指した医療経済的な方便ではなく,身体的にも精神的にも優れた治療効果のあることが証明されてきた.本稿では,主に虚血性心疾患の二次予防としての心リハについて解説する.
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