大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜切除術に用いる粘膜下注入材としてのヒアルロン酸ナトリウムの有用性 根治性と安全性の高い内視鏡治療を求めて

摘要

大腸内視鏡検査の普及に伴い，腺腫や早期大 腸癌といつた大腸腫瘍を発見する機会が増加し ている。大腸腫瘍の治療法として，粘膜下に薬液 を注入後隆起した病変をスネアを用いて絞扼し， 高周波電流で通電切除する内視鏡的粘膜切除術(EMR)が広く普及している。最近，内視鏡的粘 膜下層剥離術（ESD)が登場し，最大径2cm以 上の大きな病変，とくに側方発育型腫瘍（LST) などの平坦?陥凹型病変の治療法として注目され ている。しかし，ESDはEMRに比べて手技が難 しく，施行時間が長く，穿孔などの偶発症の危険 性が高いことが指摘されている。日常の内視鏡 治療において根治性，安全性および治療技術が最 も重要と思われる。全てが伴うことで，いわゆる 質の高い内視鏡治療が提供できる。内視鏡で発見 される大腸腫瘍の多くはEMRで根治可能である。 EMRが内視鏡治療の中心であることは今後も変 わりがなく，さらに質の高い大腸EMRが求めら れる。そこで，今回大腸EMR時に使用する内視 鏡用粘膜下注入材としてのヒアルロン酸ナトリウム（HA)の有用性を調査し，質の高い大腸EMRについて検討した。