内臓脂肪からの食欲調節シグナル

摘要

摂食行動は複雑な要素によって調節されている．血糖値などの栄養状態やレプチンなどの脂肪細胞由来のサイトカイン等は，血流を介して全身のエネルギー状態を反映する情報を脳に伝達している．一方，神経系を介する情報伝達も重要である．いわゆる味覚，嗅覚，視覚は言うに及ばず，内臓知覚神経（＝自律神経求心路）を介して腹腔内臓器（肝臓·胃·腸など）の代謝情報も脳に伝達されていることが知られている．これらの実にさまざまな情報が脳に寄せられ，そしてその情報の統合の結果，摂食行動が調整される．今回我々は，脂肪組織からの神経シグナル（求心路）と摂食調節に関する知見を得たので，これを中心に概説してみたい．