超音波ガイドを用いて聴診三角を同定し 大菱形筋の筋電図検査を行う方法

摘要

大菱形筋はTh1?Th4の棘突起を起始，肩甲骨の内側 縁を停止とし，肩甲背神経に支配される筋である.肩甲 背神経はC5神経根から腕神経叢の神経幹より近位で分 岐するため，大菱形筋の針筋電図検査は上肢挙上困難， つまり下垂腕（drop arm)の診断において，脊髄?神経 根障害と腕神経叢麻痺を鑑別する鍵となる.通常，大菱 形筋の針筋電図検査では肩甲骨の肩甲棘根部と下角を結 hだ中点上で，肩甲骨内側縁の真横に針電極を挿入する (図1)しかし大菱形筋の表層には僧帽筋が存在する ため，針電極を大菱形筋の深さに正確に挿入することは 容易ではない.一方，大菱形筋が僧帽筋におおわれてい ない肩甲骨下角内側の聴診三角と呼ばれる部位で挿入す る方法（図1)がある.しかし聴診三角は狭いうえ，体 表から触知することは困難である.