脳脊髄機能的MRIによる皮質脊髄路の神経機能評価法の開発とその展望

摘要

日々の脊椎?脊髄疾患の診断は，主に神経学的所見，CTやMRIをはじめとする画像検査などにより行われ ている.しかし，画像所見で脊髄の圧迫所見が軽度でも 神経障害が強い症例や，逆に脊髄の圧迫が高度であるに もかかわらず無症候である症例に遭遇することも少なく ない.これまでの整形外科領域の診断は，解剖学的（形 態学的）かつ局所病変の評価が中心であり，中枢神経系 に対する神経機能評価の有用性が十分に検討されてこな かった.そのため，このような"画像所見と臨床症状の パラドクス"を合理的に説明することが困難であった.近年，脊髄損傷モデル動物の脳内に代償性メカニズム が働いていることや，側弯症患者の脳内運動ネット ワークの一部に過活動が生じていること2)などが報告さ れ，脊椎?脊髄疾患の中枢神経系にダイナミックな機能 的変化（可塑性変化）が起こっていることが明らかとなった.