開腹手術既往のある胃癌患者に対する腹腔鏡補助下胃切除の検討

摘要

1994年，北野らにより報告された腹腔鏡補助下胃切除（以下，LAG)は，胃癌治療ガイドラインではいまだ臨床研究に分類されているが, 本邦ではすでに早期胃癌に対する標準手術の地位を獲得しつつある。そのような状況下，開腹手術既往のある症例はLAGの相対的非適応とも考えられるが，腹腔鏡下胆囊摘出術（以下，LC)や腹腔鏡補助下結腸切除術（以下，LAC)では， 開腹移行率や他臓器損傷率が若干高いとはいえ適応除外とする必要はないとの報告がある。今後LAGの開腹胃切除に対する短期成績，長期予後の非劣性が証明され，低侵襲性での優位性が証明されれば，手術既往があつても基本的には適応除外とする理由はないはずである。今回，手術既往の有無によるLAGの短期成績を検討したので報告する。