自律神経温存腹腔鏡下胃癌リンパ節郭清-腹腔鏡下幽門側胃切除術における神経温存手術の工夫-

摘要

開腹胃癌幽門側胃切除術における迷走神経温存手術手技は三輪らにより確立され，肝枝温存による術後胆石発生率の低下や腹腔枝温存による下痢の軽減，術後の良好な体重回復，インスリン分泌障害の予防などが報告され，神経温存の意義が明らかにされてきた。一方，本邦で開発された胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術は，技術の向上，器機の開発，外科医の研鑽により，早期胃癌に対する一治療法として確立され，急速に普及している。北野らの多施設共同研究では，早期胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術の長期成績は，開腹手術と同等であることが示唆されている。その適応は進行癌へも拡大され，endoscopic submucosal dissection (ESD),開腹手術とともに胃癌治療体系の中で重要な位置を占めるようになっている。