2ステップQRM-MLブロック信号検出を用いるシングルキャリア伝送における事前判定情報を利用した演算量削減法に関する検討

摘要

シングルキャリア（SC）伝送にQR分解とMアルゴリズムを適用した演算量削減型最尤ブロック信号検出法（QRM-MLBD）を用いれば，ビット誤り率（BER）の理論的下界である整合フィルタ（MF）限界に近い特性を達成できる．しかしながら，その演算量は従来の最小平均二乗誤差規範に基づく周波数領域等化（MMSE-FDE）に比べはるかに大きい．筆者らは最近，MMSE-FDEによる事前判定を利用してMLDの木構造の簡略化を行う2ステップQRM-MLBDを提案した．本稿では，FDE後の軟判定値と残留符号間干渉（ISI）＋雑音成分の分布に基づく2ステップQRM-MLBDの演算量を更に削減するため，探索が不要であるステージのシンボル候補を減算することによるQR 分解の演算量の削減，そしてMアルゴリズムにおける生き残りパス数削減のための事前判定結果に基づく信号検出順序付け（オーダリング）を提案する．計算機シミュレーションにより提案法による演算量削減効果を明らかにする．