仮想グループ化を利用したスリープ制御によるM2Mネットワークの省電力方式

摘要

センサネットワークやスマートメータシステムなどのM2M（Machine to Machine）ネットワークが注目を集めており，M2Mネットワーク向けの規格として，既存の無線LAN規格をベースとするIEEE 802.11ah規格の標準化が進められている．M2Mネットワークを構成する端末の多くは安定した電源を持たないと考えられるため，既存の無線LAN機器と比較して，さらなる省電力化が重要となる．そこで本稿では，仮想グループ化を利用したスリープ制御を提案する．仮想グループ化はランダムAIFSN（Arbitration Inter-Frame Space Number）方式によってもたらされる現象である．これにより従来の無線LANと比較し非常に多数の端末を収容するM2Mネットワークにおけるスループット特性劣化問題を，無線LANのランダムアクセスを維持した状態で解決することができる．提案方式は仮想グループ化を利用し，無線LANの自律分散制御による省電力方式である．本稿では提案方式を用いることで，上りトラヒック輻輳時において，遅延の増大を10％程度に抑えた上で，端末の消費電力を1/20に低減できることを計算機シミュレーションにより示す．