バイオコンポジットの現状と将来展望：2.植物系天然繊維の強度評価－グリーンコンポジットの現状と将来展望（2）

摘要

グリーンコンポジット用植物系天然繊維の強度評価に関する進捗状況について解説した．人工繊維と異なった天然繊維特有の評価手法が台頭してきており，信頼性手法を取り入れた強度分布モデルも構築されている．当該分野の新たな芽吹きを感じる．今後は天然繊維単独ではなく，その形態や強度特性がグリーンコンポジットの力学挙動や強度にどのように影響するかが問われることになろう．例えば，LCAによる観点から，天然繊維は紡績前のスライバー（Sliver）状態で用いる方法が推奨されている．スライバー内の繊維配向評価に関しては古くからテキスタイル分野で定量的に議論されているが，グリーンコンポジット強度と関連付けるには直交異方性理論など従来の力学解析と融合させる試みが必要となろう．これは一例ではあるが，このようなグリーンコンポジット特有の性質を見いだし，その与える影響を学術的に解明することは複合材料学界全体の発展にも寄与すると考えている．関係各位の更なるご支援，ご協力をお願いしたい．