溶液含浸木材の養生過程における細胞壁への溶質拡散に及ぼす溶媒蒸発速度の影響

摘要

木材の寸法安定性や機械的特性のような物性を制御する方法の一つに化学処理がある．ここで述べる化学処理とは，木材細胞壁中のセルロースミクロフイブリルの結晶構造を破壊しないような処理を指すものとする．同処理では，木材の物性は，ヒドロキシル基（-OH基）やその周辺の化学結合を操作することによって制御される．処理の種類は，熱処理，アセタール化，エステル化，エーテル化，木材-プラスチック複合体（WPC）や木材-無機化合物複合体（WIC）の形成，樹脂や高分子（たとえば，フェノールホルムアルデヒド樹脂やポリエチレングリコール）による処理などに分類される．これらの処理による木材物性の変化は，架橋，疎水化，またはバルキングの影響か，それらの組合せのいずれかによって説明できる．特に，バルキング効果は，熱処理などの一部の処理を除く大部分の化学処理に寄与するため重要である．