溶液含浸木材の養生過程における細胞壁への溶質拡散機構の検証：相対湿度がポリエチレングリコール水溶液含浸木材の膨潤·収縮挙動に及ぼす影響

摘要

木材は持続可能な天然資源であり，その材料としての利用は，大気中の二酸化炭素の長期に渡る固定に寄与するなどの大きな利点がある．しかしながら，木材は密度·繊維方向のような材質や，強度·ヤング率のような機械的性質のばらつきが大きく，湿度など周囲の水分状態によって変形や生物劣化を起こすこともある．よって木材の利用は，とくに工業製品の品質管理の厳しい今日においては大きく広がらないのが現状である．木材の制御しがたい性質の抑制に有効な方法の一つに，樹脂などの不揮発物質による処理がある．木材め性質は，処理剤の種類の選択によってある程度制御できることが知られているが，木材の細胞壁に処理剤を注入できなければその効果は期待できない．したがって，処理剤を細胞壁に確実に注入することが極めて重要である．木材への不揮発物質の注入処理は，一般的に以下の2つのプロセスに分けられる．