落石の斜面衝突運動に関する室内模型実験と数値解析

摘要

日本列島の地形·地質は，地質時代を通じて，マグマ活動や地殻変動の産物が多く，熱水変質帯や不連続面が多く存在しており，脆弱な地盤や急峻な地形が広範囲に分布している．そのため，降雨や地震などが誘因となって，斜面崩壊，土石流や落石などが多数発生している.特に，岩盤崩壊や落石は何の前触れもなく発生することがあるため，福井県越前海岸（1989年）や北海道豊浜トンネル（1996年）における岩盤崩落のように，道路を寸断することや，通行車両に当たるなど，重大な事故につながった事例もある．そのため，落石の危険予測や対策は極めて重要性が高いが，すべての落石危険箇所に防止対策を立てることは財政的に困難である．そこで，落石の危険度評価や到達域の予測，防止対策の優先度評価等の有効的な手法の確立には，数値解析が有効である．