調和組織を有するステンレス鋼のプラクトグラフィによる破壊メカニズムの解明

摘要

常温近傍でのMM処理では，バルク材に対する種々のSPD処理に比べて際立った大変形が簡単に付与できるため，10nm以下の超微細粒組織が容易に作製できる．しかし，均一超微細結晶粒材料は高強度であるが，延性に乏しいことが報告されている．一方で，微細結晶粒組織をネットワーク状に形成させ，粗大結晶粒組織を分散配置させた複合組織を持つ調和組織材料（Harmonic Microstructure Materials）は，延性を損なわずに高強度化させることができるが，その破壊のメカニズムは未だ明らかになっていない．そこで本研究では，SUS304LとSUS316Lステンレス鋼の調和組織材料を作製し，引張試験を行って基本的な機械的特性を調べるとともに，破面を詳細に観察することで，同材料の変形·破壊メカニズムについて検討を加えた．