テトラエトキシシランから調製したシリカゾルを被覆した溶融亜鉛めっき鋼板の作製と耐食性評価

摘要

ゾルゲル法により溶融亜鉛めっき鋼板表面にシリカゾル皮膜を常温で形成した。 XRD分析の結果，皮膜の構成化合物はH_2Si_2O_5であり，これを溶融亜鉛めっき鋼板素面に被覆すると，表面の亜鉛と反応して皮膜はZn_2SiO_4を主成分とする化合物となった。 溶融亜鉛めっき鋼板上へ形成された皮膜に亀裂はほとhどなく，また，皮膜厚は約0.4μmであると推定された。 各耐食性試験の結果，シリカゾルを被覆した試験片の耐食性は，重クロム酸ナトリウム水溶液で処理した試験片を凌駕する優れた耐食性を示した。 これは，コーティングによって溶融亜鉛めっき表面に生成したケイ酸亜鉛系生成物Zn_2SiO_4等が，酸素やその他の電解質イオン等が皮膜を透過するのを阻止するためであると推定される。