リサイクルPTFE焼成体の組織構造と機械強度に与える乳化重合PTFE粉末添加の影響

摘要

ポリテトラフルオロエチレン（PTFE)は耐熱性，耐薬品性，耐候性および摺動性などの様々な優れた特性を併せ持つ極めて優秀な高分子材料である.PTFEは融点以上の温度でも高い粘度(1010-1012 Pa·S)を保ち，流動性を示さない.そのため，PTFE製品の製造では，金属の粉末冶金法の様に原料粉末を圧縮成形し，焼成して焼成体をつくり，製品形状を削り出すという一連の工程が必要となる. PTFE焼成体を削り出す切削工程では大量の切削屑が発生する.PTFEは極めて化学的に安定であるため,土壌中で微生物分解も受け付けない.完全な気化には600°C以上を要し，高温加熱時に人体に有害なガス（フッ化水素等）が発生するため，焼却処分もできない.そのため，現状では，大量の切削屑は産業廃棄物として埋め立てするしか処分方法がなく，効果的な処分方法やリサイクル方法が求められている.