Ti-41.7Ni-8.5Cu（at％）形状記憶合金の熱·力学サイクル条件での機能および強度劣化の確率論的信頼性評価

摘要

Ti-Ni-Cu形状記憶合金をエネルギ変換素子として適用するレシプロ型熱エンジンの設計において,機能と構造強度の最適融合化をはかるための基礎的検討として熱·力学サイクル試験を行った。 得られた形状記憶機能の劣化および疲労損傷·破壊の挙動に対して数式モデル化をはかりワイブル統計解析をもとにばらつきを考慮できるようにした。 得られた結果は下記のように要約できる．（1）熱·力学サイクルの繰り返しに伴う非回復ひずみの挙動は，最大ひずみおよび加熱温度の影響も含めて数式モデル化することができる．（2）エネルギ変換に利用できる回復応力および回復エネルギのいずれも非回復ひずみε_(ir)との関係式が得られ,熱·力学サイクル数の増大に伴う挙動も推定できる。（3）疲労破壊寿命も非回復ひずみε_(ir)との関係を数式モデル化でき，非回復ひずみε_(ir)からよく推定できる.（4）モデル式での推定値に対する非回復ひずみε(ir)のばらつきはいずれの場合も2母数ワイプル分布を示す.（5）回復応力，回復エネルギおよび疲労破壊寿命のいずれも非回復ひずみε_(ir)のばらつきを介して確率論的に予測できる．（6）ここで提案した形状記憶合金の熱·力学サイクル条件下での特性挙動の数式モデルは，形状記憶合金応用熱エンジンの信頼性設計において，許容機能損失確率に基づき保証寿命設計する際の機能·構造融合の最適化に役立つ．