ハウス内の光環境の適正化を目指す自動調光システム

摘要

日射量が比較的強い西日本に位置する広島県のトマト生産は、年間51ha販売額お億円(2017年、広島県)であり、そのうちの6割は県中北部の高冷地での夏秋トマト栽培が占めている。しかし、県内の高冷地においても、近年の温暖化にともない、夏季の高温、強日射による着果不良や裂果、尻腐れ果などの障害果が多発して減収するため、暑熱対策の技術開発が求められている。これらの対策としては、ヒ—トポンプやパッド&ファンなども挙げられるが、一般的には寒冷紗等をビ二ルハウスに被覆する遮光が行われている。しかし、継続的な遮光は梅雨などの曇天が続くと、日射量不足による徒長や光合成量の不足による収量低下が懸念される。このことから、夏季の高温、強日射による生育、収量および果実品質の低下を軽減するためには、曇天時は日射を確保し、晴天日などの強日射時のみ遮光する方法が有効であると考えられる。そこで、広島県立総合技術研究所農業技術センターは、全国に広く普及する中小規模ハウスにも導入でき、天候や日射量に応じて遮光資材を自動開閉することでハウス内の光環境条件を最適な条件に近づける「自動調光システム」(図1)を開発し実用化した。