「ダイオキシン問題」を考える

摘要

農作物がダイオキシン類に汚染されているというマスコミ報道によって、農業生産におけるダイオキシン問題がクローズアップされた。 連日のように報道されるこの間題の判断材料として、ダイオキシン類がもつ性質や毒性、そして農業場面でのかかわり等、現在までに明らかにされている情報を提供したい。 弗昆ぅ伐箢悺工趣稀?に示すポリ塩化ジベンゾジオキシン（PCDDs）とポリ塩化ジベンゾフラン（PCDFs）の総称であり、ベンゼン環に置換する塩素原子の位置と数によって、PCDDs七五種、PCDFs一三五種の計二一〇種の異性体がある。 「ダイオキシン」と称する場合、正確にはPCDDsのみと限定されるが、通常使われる「ダイオキシン」はPCDDsとPCDFsの両者を含む。 塩素の置換数は一～八個でその置換する位置は図1の数字で示される。 ダイオキシン類問題で厄介なのは、この異牲休閑で毒性や化学的性質等が大きく異なっていることである（後述）。 なお、過去に絶縁体等として多用されたポリ塩化ビフェニル（PCB）の中で、偏平構造をもつコプラナーPCB（CO－PCB）も生体作用がPCDDsやPCDFsと類似なことから、世界的にはダイオキシン類に含めている。