イチゴの促成栽培におけるセル成型苗の利用

摘要

近年、イチゴの栽培は、法人による大規模経営から従 来のような小規模経営まで、多様化している。イチゴの 促成栽培における育苗や、親株も含めると養成期間が非 常に長く、前作の収穫や管理作業と重なって非常に労力 負担が大きい。このような背景から、育苗と果実生産の 分業化が強く望まれている。このためには、大量の苗を 長期的に確保する必要があり、ランナ一発生条件の解明、 ランナーの長期大量発生技術の開発、ランナー子株の貯 蔵技術などについて、研究が行われてきた。一方で、苗 の生産効率を高めるためには、単位面積当たりの生産数 の増大や、育苗期間の短縮が不可欠であり、セル成型苗 の利用が有効と考えられる。しかし、これまでの研究は ポットを利用した自家育苗の省力化を前提としており、 育苗の分業を念頭においたものではない。今回は、育苗の分業に必要な技術開発のために行われた、72穴セルト レイを用いたイチゴの育苗に関する研究を紹介する。な お、文献では土壌中窒素含量と定植後の生育についても 検討しているが、誌面の都合上、割愛する。