消化器癌に対する化学療法 胃癌に対する化学療法

摘要

進行再発胃癌に対する化学療法は，従来より5－FUを中心にbiochemicalmodulation，併用化学療法など効果増強のための様々な工夫がなされてきた。 1990年以降，多剤併用の比較試験の結果が報告されてきたが，世界標準となる治療法は確立されたとはいいがたい現状である。 近年，胃癌に対する有効な新規抗癌剤が保険適応となり，単剤，併用での有効性が多数報告され，胃癌に対する化学療法も新しい展開がみられるようになってきた。 新規抗癌剤であるTS－1，CPT-11，taxaneの各薬剤は作用機序が異なることから単独，併用，さらにsequentialchemotherapyとしての治療法が可能であり，生存期間の延長とQOLの改善に寄与する化学療法の確立が期待される。 一方，術後補助化学療法は従来より，わが国において盛hに行われてきたが，その有効性を示すevidence levelの高い比較試験は少なかった。 しかし，meta－analysisによる多数例の解析では，いずれも胃癌に対する術後補助化学療法の有効性が示されている。現在，治癒切除症例を対象に手術単独群とTS－1投与群の比較による検証的臨床試験（ACTS－GC）が進行中であり，胃癌術後補助化学療法の有用性が明らかになるものと期待される。