放射線治療の進歩　密封小線源治療の進歩　特に前立腺癌永久刺入療法について

摘要

小線源治療は，外照射の進歩が著しい今日においても，有用性の高い重要な放射線治療のモダリティである。 欧米では，早期前立腺癌の根治的治療として数多くの低線量率あるいは高線量率の経会陰的組織内照射法が行われる。 これは外照射に比べて理論的，現実的に優れる点が多いためである。 高線量率192IrRALSを用いた治療は，コンピュータ制御により線源停留時間と停留位置を高精度に制御できるため，任意性の高い線量分布が得られることがメリットである。 低線量率組織内照射は，125Ⅰなどのシード線源を前立腺組織内に永久刺入する比較的簡易な方法で，欧米では外来手術で治療されているなど，患者への侵襲が少ないことが利点である。 10年生存率の報告でも，有害事象も比較的少なく良好な成績が報告されている。 ∨访驻吮趣伽屏ⅳ吝Wれていたこの分野ではあるが，125Ⅰシード線源が医療用異として承認され，治療を受けた患者の退出に関するルールもできたことから，2003年9月に本邦第1例目の治療が行われ，早期前立腺癌の重要な治療選択肢として期待されている。 本稿においては，125Ⅰシードによる前立腺永久刺入療法を中心に，その治療計画，治療の実際，治療成績について述べ，密封小線源治療の現状と将来について考察した。