S-1による化学療法が再発乳腺扁平上皮癌巢に対して著効した1例

摘要

症例は65歳，女性。左乳房腫瘤を主訴に近医を受診。左乳腺DBE領域に06 cm大の腫瘤を触知し，左乳癌T3N1M0, Stage MAの診断で当科にて乳房切除術?腋窩リンパ節郭清術を施行した。病理診断は乳腺原発扁平上皮癌pT3NlM0， Stage HIAであった。術後にFEC療法，weekly PTX療法を行うもどちらも副作用の出現などで中止となり，経過観察中に 左前胸部に発赤を伴う皮疹を認めた。生検により扁平上皮癌の局所再発皮膚浸潤と診断し，S-1投与を9コース行った後， 外科的切除を施行した。術後病理組織検査ではinvasive micropapillary carcinomaの残存を認めたが；扁平上皮癌巣の完全 消失がみられた。S-1が再発癌巢のなかで扁平上皮癌成分に対してのみ著効した，非常に興味深い症例を経験したので報告 する。