乳腺·内分泌腫瘍乳癌薬物療法のトピックス

摘要

原発性乳癌の治療で，最も判断に迷うのはluminal type乳癌に対する化学療法の適応である。Luminal type乳癌のホルモン療法感受性にはgradientがあり，非常に高い感受性がある癌からエストロゲン受容体は発現していても感受性はほとhどない癌まである。その識別は，エストロゲン受容体の発現量やプロゲステロン受容体発現の有無，Ki67/MIB1 indexなどの増殖指標を用いることである程度可能と感じられるが，きめの細かい予測はこれらのマーカーだけでは困難である。ホルモン療法存在下の化学療法の効果予測もホルモン療法感受性と同様にgradi-entが存在する。 従って， 実地の臨床では個々の癌本来の悪性度，予後を予測し，その上にホルモン療法感受性と化学療法感受性をそれぞれ評価，治療存在下の予後を予測して治療法を決定していくことになる。この予測精度をどれほど高めうるか,幾つかの遺伝子シグナチヤーは術後無治療時あるいはホルモン療法存在下の予後予測に寄与し， さらに化学療法の効果予測にも有用と考えられている。これらの多遺伝子シグナチヤーは世界各所で実地の臨床で標準的に使用されるようになってきている。