婦人科がhワクチンによる子宮頚痛の予防戦略II.HPV感染と子宮頸癌の発生

摘要

HPVは約8,000塩基対からなる環状二本鎖DNAをゲノムとして持つ小型DNAウイルスで（図1），皮膚では症贅（いぼ），粘膜では広義のコンジローマ（湿疣）病変を形成する。これまでに120以上の型が同定されているが生殖器などの粘膜に感染するHPVはα属に集中している。さらに，いわゆる高リスク型HPVはα属の中の，Species5，6，7，9，11に分類される（図2）1）。「高リスク型」とはHPV非感染者に対してHPV感染者がどれだけ子宮頸癌になりやすいかを示す相対危険度（オッズ比）が高いことを示すが，その値は型によって異なる（図2）。子宮頸癌から最も高頻度に見つかる16型（約半数）や世界的には2番目に多い18型ではその値は250～500倍と，喫煙による肺癌の相対危険度（約5～10倍）を遥かに超えている。