FOLFOX療法による末梢神経障害に対する予防策の多施設実態調査-愛知県病院薬剤師会オンコロジー研究会第4分科会の取り組み-

摘要

FOLFOX療法は，oxaliplatin特有の重篤な末梢神経障害の発現率が高く，患者のquality of life（QOL）を著しく低下させることがある。そこでわれわれはこの末梢神経障害に対する予防策の有無の調査を行い，また末梢神経障害の発現状況を調査し，グルタチオン，Ca／Mgの有用性を検討した。調査の結果，予防策を行っている施設は17施設中5施設であった。末梢神経障害初回発現時期は対策なし群：2．9コース，グルタチオン投与群：7．5コース，Ca／Mg投与群：6．4コースで，その発現時期を有意に遅延させることが示された。また，FOLFOX療法終了時の平均線コース数はそれぞれ，対策なし群：5．9コース，グルタチオン投与群：11．3コース，Ca／Mg投与群：8．5コースであり，予防策によりFOLFOX療法の施行回数を増加させることが示された。グルタチオンまたはCa／MgをFOLFOX療法施行時に投与することは，末梢神経障害の発現遅延が可能であり，患者のQOL向上への一助となると思われる。