チロシンキナーゼ阻害薬がヮルフアリンのPT-INRコントロールに及ぼす影響

摘要

要旨がh患者のwarfarin (WF)による静脈血栓塞栓症（venous thromboembolism: VTE)治療に対して抗がh薬が及ぼす 影響を評価した報告は少ない。本研究は単施設，後ろ向き観察研究で，以下のa群とb群に分けてカルテ調査を実施した。 a群はWF先行投与群で，WF投与中にTKIを併用開始した群（WF+TKI群）あるいはTKI以外の杭がh薬を併用開始し た群（WF+non-TKI群），b群は抗がh薬先行投与群で，TKI投与中にWFを導入した群（TKI+WF群）あるいはTKI以 外の抗がh薬治療中にWFを導入した群（non-TKI+WF群）とし，併用前後のprothrombin time-international normalized ratio (PT-INR)変化量を比較した。a群における対象患者はWF+TKI群14名とWF+non-TKI群20名であり，PT-INRの観察期間は併用後3か月とした。b群はTKI+WF群16名，non-TKI+WF群13名であり，PT-INRの観察期間は WF導入後14日とした。a群のWF先行投与群では，抗がh薬併用後のPT-INR変化量はnon-TKI群に比較してTKI群で 有意に大きく （0.42vs2.23, p< 0.001), WF+TKI群では14/14名（100,0%)でPT-INR上昇後にWF投与量が減量され ていた。b群の杭がh薬先行投与群におけるWF導入期のPT-INR変化量は，non-TKI+WF群と比較しTKI+WF群で有 意に大きく （0.68vs2.18， p< 0.001), TKI+WF群では12/16名（75.0%)でWF投与量が減量されていた。WFとTKI 併用時はWF投与量の減量を考慮する必要があることが示唆された。