S-1療法が奏効し長期生存中の肝内胆管癌術後早期リンパ節再発の1例

摘要

症例は71歳，男性。肝機能異常精査のため当院に紹介となった。精査の結果，肝内胆管癌の診断となり肝右葉切除術を施行した。術後補助化学療法としてgemcitabine 1,000mg/m2 (3週投与1週休薬）を開始した。grade 3の食欲不振が出現したため，3サイクル目よりgemcitabine 800 mg/m2に減量した。術後6か月のCTにてリンパ節再発を認めた。術後1年のCTでは大動脈周囲の広範なリンパ節再発と残肝再発を認め，S-1100mg/day (3週投与1週休薬）の投与に変更した。10サィクル目にgrade 3の血小板減少が出現したため3週投与2週休薬に変更，さらに36サイクル目からはS-180 mg/day (2 週投与2週休薬）に減量した。S-1療法を開始後2年でリンパ節再発は消失，4年で残肝再発もほぼ消失し，PRと判定した。CEAは正常化，CA19-9も10011/mL前後で保たれてぃる。grade 2の血小板減少がみられるものの，現在43サイクル目を施行中であり,術後5年1か月生存中である。全身状態をみながら化学療法を継続投与したことが予後改善につながつたと考えられた。