スラグ中の微量フッ素の化学形態解明に向けたＮＭＲ 技術の高度化

摘要

フッ素（F）に対する溶出規制の遵守は、スラグの資源化を進めるうえで重要な課題の一つである。 そのため、Fレス化による対応も実施されてはいるが、特殊鋼の生産においては、依然としてF投入が 必須であることから、F 含有スラグの発生は不可避な状況にある。そこで、これらのスラグを適正に管 理?処理するためにFの化学形態に関する知見が必要とされているものの、微量F（1%以下）を解析す る技術は未だ不十分である。核磁気共鳴法（NMR）は、19F 核に対して良好な感度を有するが、通常の 検出器（プローブ）で測定した場合には、部材に含まれるF 由来の膨大なバックグラウンド（BG）信 号にスラグ中Ｆ由来のピークが埋もれてしまうという問題点を抱えていた。今回、部材変更によって、 BG の削減に取り組むとともに、F の結合相手を特定するための手法を確立し、微量F の化学形態解明 に向けた基礎検討を行った。