フェライト系耐熱鋼のクリープ破断強度に及ぼす化学成分と構成相の影響(S035_2)

摘要

火力発電プラントのボイラ等の高温機器に使用される先進高強度フェライト鋼は，要求されるクリープ破断強度を発現するために，化学成分範囲や熱処理条件を厳しく制限して組織制御されている．一方，クリープ破断強度は，材料に含まれる化学成分および構成相や熱処理条件等の影響を受けるために，規格に規定された化学成分範囲内の組成を有する材料であってもそのクリープ強度はヒート毎に異なり，ばらつきを有することになる．したがって，フェライト系耐熱鋼のクリープ破断強度に及ぼす化学成分や構成相等の影響に関する詳細な知見は，本鋼種の合金設計指針および高精度クリープ破断寿命予測技術の確立に寄与できるものと考えられる．フェライト系耐熱鋼のクリープ破断強度に及ぼす化学成分の影響については，藤田ら1)によって1950 年代より継続的な研究が行われてきたが，近年では実用鋼の多くのヒートに対する長時間クリープ破断データが蓄積されつつある．本研究では，9Cr-1Mo-V-Nb 鋼（Gr. 91 鋼）および9Cr-0.5Mo-1.8W-V-Nb 鋼（Gr. 92 鋼）を対象とし，上記クリープデータを基に化学成分および構成相等とクリープ破断強度との相関を明らかにすることを目的とした．