MX 強化元素の最適化による高速炉用高Cr 鋼開発－3－(Nb による析出強化機構のクリープに対する安定性評価)

摘要

高温強度と熱的特性に優れる高クロム（Cr）鋼を主要構造材料として採用することにより、配管の短縮化? 物量削減を図り、設計自由度や経済性を向上させることを検討している。実証炉構造材料には、既存高Cr 鋼の中でも、長時間安定性に優れ、火力発電等で実績のある改良9Cr-1Mo 鋼を採用することを検討している が、実用炉に向けては、さらなる設計自由度や経済性の向上のために、改良9Cr-1Mo 鋼より優れた材料特性 を有する高Cr 鋼の開発が望まれる。高Cr 鋼の優れた高温強度は、多くの元素を添加し、それらによる強化 機構により達成されているが、高速炉温度域（550℃×60 年）における長時間有効性?安定性は十分明らか にされていない。そこで、高速炉用高Cr 鋼の開発の一環として、V，Nb によるMX 析出強化機構の長時間 有効性?安定性に関する検討を目的に、V，Nb の添加量の異なる高Cr 鋼を溶製し、種々の試験および分析 を実施している。本報では、最長14700 時間までのクリープ試験およびそれら破断材の組織観察から、Nb 添加による析出強化の長時間安定性について検討した結果を報告する。