Ti 添加鋼のナノ組織と機械的特性（第３報）Ti 添加鋼の機械的特性

摘要

資源環境問題の深刻化にともないCO2排出量の削減のみならず省資源化に対する要求もますます厳しくな っている。高価な合金元素の添加を抑えた高強度鋼材に、ナノサイズ析出物を用いた析出強化鋼があり、一 部実用化も進んでいる。析出強化鋼の機械的特性は析出物の形態（形状、大きさ）および数密度等に大きく 依存するため、品質の安定化や強度‐延性バランスの一層の向上を図るためにはナノサイズ析出物を定量的 に把握し制御する必要がある。しかしながら、透過型電子顕微鏡等を用いた直接観察法で定量評価すること は難しく、さらにナノサイズ析出物の形態等と諸特性の関係についても十分な理解は得られているとはいえ ない。本研究では、化学成分、熱間圧延とその後の熱処理条件を系統的に変化させて作製したTi添加熱延鋼 板の機械的特性を調査するとともに、第2 報で報告したX線小角散乱によるTiC定量評価結果との関係につい て検討した。