多成分カルシウムフェライト（SFCA-I)相の結晶構造と還元変化

摘要

今回の実験によって、焼結塊成鉱の連結鉱物相である多成分カルシウムフェライトSFCAおよびSFCA－I相の構造的特徴および還元環境における基本的な振る舞いが解明できた。 すなわち、連結鉱物相SFCAおよびSFCA－Iの結晶構造は、Pyroxeneユニットおよびspinelユニットが連結するpolysomatic materialとして整理でき、その還元挙動も構造ユニット単位で記述できる。 今後、このようなミクロ構造とマクロの性質が対応する特徴を利用すれば、連結鉱物相のマクロ特性を構造ユニットで制御する新しい試みが期待できると考えている。 また今回の合成実験の範囲では、CaFe_4O_7近傍に存在するhexagonal calcium ferrite群およびCaFe_2O_4+nFeO（n＝0,1，1.5，2，2.5および3）結晶群が生成しなかった。 しかし、P_（o2）=1.OX10~（-4）レベルのより酸化的な雰囲気では、SFCA－I相がhexagonal calcium ferriteに変化する結果が一部確認されているので、今後より詳細な還元実験を通じてSFCA相、SFCA-I相、hexagonal calcium ferrite群およびCaFe_2O_4＋nFeO化合物群の関連性が解明されると考えている。