再生医療を目指した前臨床研究 幹細胞パッケージングを用いた臓器再生技術

摘要

臓器不全に対する唯一の根治的治療は臓4移植であるが，世界的な提供臓器不足によって移植医療を享受できる患者数は，際に移植を必要とする数の3割にも満たないと考えられている.これに対して臓器をいかに再生して提供臓器に頼らない新しい治療法を開発するかといつた問題は，PS細胞などの幹細胞技術の発展とともに急速に現実味を帯びてきている.再生医療開発を加速するための重要な基盤技術として，近年組織工学的手法に大きな注目が集まっている.この手法を用いて生体内の細胞周囲環境を体外で可能なかぎり再現するために様々な方法が開発されてきたが，の中で著者らは生体の臓器から細胞をすベて除去し，残った臓器骨格を利用する脱細胞化技術に注目し，世界に先駆けて肝臓に適応した本手法は組織再生を理解する基盤技術として有効であるのみならず，これまでの組織工学的手法と比較し幹細胞技術を臨床応用するために有用な幾つかの特徴的利点を有している.