急性リンパ性白血病の薬物療法の最新知見

摘要

近年の化学療法の進歩で，小児急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia: ALL)は長期生存率が約80 %と著明に向上しているが, 成人ALLの治療成績の向上は不十分である 長期生存率は60歲未満であれば30-40 %であ るが，60歳以上では10%に満たない.しかし ながら，少しずつ白血病細胞の病態に関与する 分子の解明が進み，これらの分子を標的とする 治療薬の導入で，治療成績の向上が望める Philadelphia (Ph)染色体陽性ALL (Ph+ALL)を代 表とするALLサブタイプも出てきた.また近年 rituximab(RTX)を代表とする抗体療法を組み 合わせて治療成績の向上を図ろうという試みも なされている.