皮膚の防御機能と表在性皮膚細菌感染症

摘要

皮膚は体表を覆い，表皮，真皮，皮下脂肪の3層からなる.表皮は厚さ75-200mumで，最表 層の角質層は20nと薄いが，角質細胞が密着 し硬い.また，ァクネ菌が皮脂を分解して皮表 に弱酸性の膜を作り，表皮ブドウ球菌などとと もに常在菌叢を形成し，病原菌の生着を防いで いる11.更に，角質層の低水分(約10%)と汗の 塩分による高浸透圧，汗に含まれるIgAが病原 菌の生着と発育を妨げている.したがって，病原菌が経皮感染するためには， 毛孔か，外傷ゃ搔破による表皮の欠損箇所から 侵入し，血管のある真皮まで侵襲する必要がある.また.免疫低下や糖尿病があると感染が容 易になり，日和見感染を生じやすくなる.