日本産マウス系統MSMとJF1のゲノム解読からみえてきた実験用マウスの起源

摘要

実験用マウスの成立, 実験用マウスは基礎医学?生物学研究に欠かせない重要なモデル動物である.マウスのゲノム配列は2002年に，哺乳動物ではヒ卜についで2番目に公開された. これによりヒ卜?マウスの約9割の遺伝子が類似した機能を保持している可能性が高いことが明らかになつた.全ゲノム解読の対象となったのはC57BL/6 J (B6)系統であるが, これはとくに脳?神経?行動の研究分野においてノックアウトマウスの表現型解析がこの遺伝的背景でなされていること，そのほか多数の突然変異体の遺伝的背景となっていたことなどが理由としてあげられる.実験用マウスにはB6以外にも遺伝的特性を異にする400種類以上の近交系統が存在する.さらに，それらを遺伝的背景とした突然変異体，コンジェニック系統，各種の遺伝子改変動物などが開発され,研究に利用されている.