バゾプレシン受容体によるACTH分泌と血糖の制御

摘要

ァルギ二ンバゾプレシン(AVP)は視床下部室傍核および視索上核により産生される下垂体後葉ホルモンであり，抗利尿ホルモンとして腎集合尿細管での水の再吸収作用や，副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)放出因子として下垂体前葉からのACTH分泌促進作用を有することが知られている.AVPの受容体はそれぞれG蛋白質共役型受容体であるV1a， V1b(V3)およびV2受容体の3つのサブタイプに分類される.これら3つの受容体はそれぞれに固有の生体内発現分布を示し，AVPの多様な生理作用発現に寄与している.近年，AVPの血糖調節,脂質代謝，精神機能などへの関与とこれを仲介するAVP受容体サブタイプが報告され，抗利尿などの古典的なAVPの作用に加えて，神経ぺプチドゃ血糖·代謝調節ホルモンとしてのあらたなAVPとその受容体の機能が明らかになりつつある.