リスク曲線を用いた最大事故損害規模の予測：事故の発生特性を続計的な視点で見る手法

摘要

産業事故を防止するためのアプローチの一つに、個々の事故の現象としての因果関係を考究し再発防止を図る方法がある。一方で、複雑な要因のもとで生起する一連の同一種類の事故事象群のもつ性質から、災害·事故の基本的特性の考察やリスクの定量的な評価を行う統計学的分析の立場のアプローチがある。 筆者らは後者に立脚し、産業災害を対象とする効果的安全施策の策定及びその評価のためにリスク曲線を用いた方法論を開発してきた。 リスク曲線とはある対象とする災害をマクロ的にとらえる統計的を手法である。 筆者らは、これを用いて安全対策や施策の効果の大きさを把握したいと考えていた。詳しくは後述するが、①リスク曲線のテイル部、つまり災害被害規模の大きな領域でのリスク曲線の傾きから、各種災害間の安全管理の程度の比較する。 ②将来のある期間（例えば、今後10年）を定めたときに、その間に発生するであろう最大災害被害規模を予測するを目指している。 ①、②の結果から、対策や施策の優先順位を決める、あるいは施策の有効性を検証することができる。 また、リスク曲線の考え方とAEセンサによる腐食監視を組み合わせた供用中の石油タンク底板の最大限肉量を基にした腐食リスクの評価法を開発している。 これについても簡単に紹介する。