走光性を活用した注意喚起設備の評価－その効果検証と安全性の検討

摘要

ヒトは自己の周囲や外界の視覚対象が，ある方向に運動した場合，客観的に自分は静止しているのに，自分が運動しているように感じる擬似的感覚を持っている．これは，視覚誘導自己運動感覚（以下，べクションと称す）と呼ばれている．また，昆虫などの性質である方向性のある外部刺激に対して反応する行動である走性，特に光に対する運動を示す走光性はヒトにもあるのではないかと考えられている．私たちはこの2つの感覚効果に着目し，道路に沿って連続的に配置した発光器具（以下，注意換気設備と称す）で線的な光が流れるように点灯させ，その速度を変化させることで運転者に視覚刺激を与え，感覚の変化を生じさせ車両速度をコントロールする研究を行ってきた．本研究では平成21年度に実施したシミュレーション実験での結果を踏まえ，安全性の確保と速度感覚の検証を目的とした．