素人観察者の真珠の質感知覚－美しさ,光沢感,色沢感の関係

摘要

真珠の鑑定は，形や傷の評価に加えて，光沢と色沢の強さの評価によって行われている。本研究では，鑑定士が光沢と色沢に基づいて行う美しさの評価と一般の素人が感じる美しさの知覚の関係を明らかにすることを目的とした。素人の観察者23名が，鑑定士が鑑定した真珠18個について，それらの美しさ，光沢感の強さ，色沢感（色味の鮮やかさ）を判断した。その結果，素人観察者の美しさの評定と鑑定士による鑑定結果（美しさに基づくランキング）の相関は低かった。一方，素人観察者が評定した光沢感は，鑑定士による美しさの鑑定と高い相関を示した。したがって，素人がナイーブに「真珠の光沢」と感じているものが，鑑定士が評価している光沢と色沢の組合せからなる真珠の美しさの源泉になっていると思われる。