温度計測のトレーサビリティ

摘要

トレーサビリティの概念の起こりは1960年代初期のアメリカにおいてである．当時のアメリカでは電子工業の高度成長，宇宙関連工業の発展によって，その必要性が強く求められ．た．JIS Z8103「計画用語」において「標準器または計測器が，より高位の標準によって次々と校正され，国家標準につながる経路が確立されていることをいう」とされているが，宇宙開発において使用される製品が，このような過程において，特性値の普遍性が保証されることが必要であったものと思われる．1962年，アメリカでは国立標準局(NBS) の呼びかけを出発点として全米標準室会議(NCSL)の第1回が開かれた．これに続いてイギリスでは英国計測器校正サービス機構(BCS)が発足されたが，アメリカが会議中心なのに対して，イギリスでは認可制度に基づくトレーサビリティ制度がつくられたところに特徴がある．