正確な測定を行うための基礎知識を原理から学ぶ－ネットワーク·アナライザのキャリブレーション技法 ：〈前編〉測定時に生じる誤差要因

摘要

近年，携帯電話やLAN (Local Area Network)など，高周波を使った機器が急速に普及しています．身近にある携帯電話には800MHzや1.9GHzの高周波信号が使われており，携帯電話の内部にあるフィルタ(filter)や増幅器（amplifier：以下アンプと呼ぶ）といった部品や回路は，当然ながら高周波に対応したものが組み込まれています．このような高周波に対応した部品や回路の性能を測定する場合に，一般的に使用する機器としてネットワーク·アナライザ(network analyzer)と呼ばれる測定器があります．このネットワーク·アナライザは使用する前に校正（calibration：以下キャリブレーションと呼ぶ）を行う必要があると取り扱い説明書に書いてありますが，キャリブレーションが何をしている作業なのか，その原理がわからない方も多いのではないかと思います．しかし，原理がわからない状態での作業は測定ミスを招きやすく，さらには測定ミスに気付かないという事態を引き起こしかねません．本稿では前述の問題を解決するべく，高周波の部品や回路の測定を行う方を対象として，ネットワーク·アナライザを使った測定の簡単な説明と，測定のまえに必要となるキャリブレーションについて説明します．