マトリクスコンバータで電力供給される大型天井クレーンのアース電流とクレーンフックのストレイ電圧

摘要

伝導性電磁干渉問題の1つの具体的事例として大型天井クレーンにおける高周波スイッチング電流とストレイ電圧の問題を取りあげる．大型天井クレーンで固体燃料ロケットを操作する時，クレーンフックから電流がリークすると危険であるため厳しい安全基準が設けられている．JAXAの運用基準ではアースとクレーンフック間の開放電圧（ストレイ電圧）を50mV以下としている．実際JAXAでは固体燃料ロケットの操作に100トンの天井クレーンを用いている．電力効率とエネルギー回生および制御性のために，巻き上げに使用される誘導モータへの給電にはマトリクスコンバータが使用されている．桁の走行とモータを乗せたクレーンクラブの横行および桁が20mを越える高さ．にあるため，長い3相電力ケーブルが使われている．マトリクスコンバータで発生したスイッチングサージは2系統のアース線で地上の接地極に導かれる構造になっている．数十kHz帯の電磁干渉源であるスイッチングサージ電流が実際にア「ス線にどれくらい流れているのか，モータに達したスイッチングサージ電流がモータ筐体を通って拡散されるのはどのくらいになるのか，クレーンフックまでの伝導経路はどのような周波数特性になっているのか等について解析した．